ハローハロー!
こちら地球。
宇宙のどこかにいるキミに話しかけています。
この放送をキミが聞いているかは、ボクには分かりません。
キミがどれくらい遠くにいるのかも分かりません
けれどボクは、キミに呼びかけ続けます。
どれくらいの距離があるかは分からないけど、きっと届くと信じています
ボクは、太陽系にある地球という星に住んでいます。
水と緑が沢山ある、不思議な星です。
そこでボクたち人間は、いろんなものを作って生活しています。
いろんな文化や娯楽がたくさんあります。
キミの星はどうですか?
ボクは、キミの星に興味があります。
キミの星の事を聞きたいのです。
もしこの通信を聞いていたら、お返事ください。
キミの星は、宇宙を旅することは出来ますか?
本当はボクの方からキミの所へ行けばいいんだけど、ボクたちはまだ地球を出るのに苦労しています。
だからキミが宇宙に出れるのであれば、是非地球に来てください。
会って、たくさんお話ししましょう
もしかしたらこれを聞いているキミは、返事も出来なくて、宇宙に出れないのかもしれません。
それは残念ですが、嘆くことはありません。
なぜならボクがキミに会いに行くからです。
確かにボクたちは宇宙を旅するのは難しいです。
けれど、ボクが大人になってとても速い宇宙船を作ります。
そうしたら、絶対にキミに会いに行きます。
約束です。
だからキミはこれだけは知っておいてください。
キミは一人ではありません。
ボクとキミは友達です。
いつか宇宙に出て、キミに会いに行きます。
では遠い未来に会いましょう。
◇
まだ見ぬ『異星人と会う』という人類の悲願を背負って、旅に出てから一か月。
無線機からは懐かしいものが流れてきた。
希望に満ち溢れた幼い『ボク』が、まだ見ぬ『キミ』に送ったメッセージ。
『キミ』に届くと信じて発信したけれど、結局返事が返ってこなかったけれど、まさか受け取りが僕とは思いもしなかった。
この宇宙船は光より早く移動できる人類の英知の結晶だ。
だから理論上、電波に乗せて光の速さで飛んでいくしかない『ボク』のメッセージには追いつけるけど、実際に追いついてみれば驚きしかない。
僕は無線機を操作して、受信したメッセージを改めて宇宙に発信する。
科学の進歩は宇宙船だけではなく、無線機の技術にも及んでいた。
かつて光の速さでしか送れなかったこのメッセージも、今では光より早く送ることが出来る。
こうしてもう一度発信すれば、ボクが到着する前には『キミ』にメッセージが届いているだろう。
ごめんね、まだ見ぬ『キミ』よ。
メッセージはまだ届いてないけれど。
どこにいるかもわからないけれど。
一方的な約束だけど。
ボクは、キミに会いに行きます
12/2/2024, 12:42:13 PM