「私とあなたじゃ住む世界が違う 第七十五話」
志那は、牢屋の中で正気を失った様にしょんぼりしていました。
「誰も助けに来ない…いつまで、こんな生活が続くんだろう…?」
志那は、牢屋の中の生活で疲労困憊状態でした。
「毎日、殴られるし、電流浴びせられるし、体の何処かが怪我するし…」
「お前、大丈夫か?」
突然、志那の前に薄いベージュの肌、伏せた黒い目、黒に近い紫色でボブに近いショートヘア、痩せ型、白のパーカー、スポーティーな服で無口で冷めた感じの少女が現れました。
「…誰?」
「僕は空白。お前は?」
「斎藤志那だけど…」
「志那、このままだとこの世界で生き残れない。僕に付いて来い」
「…分かった!」
志那は、このまま牢屋から出られないのは嫌なので、空白に従う事にしました。
「…って、何処へ?」
「極地世界」
「…え?!待って、待って!極地って危ない所じゃ…」
「このまま、ココに居るか?」
「それは…嫌!」
「じゃあ、行こう」
空白は、
「バクレマンジェー」
と、唱えると極地の入り口が開きました。空白は、志那を連れて極地の中に入って行きました。
「極地って…暗いし、気味悪いし、アリスの世界みたいによく分かんない所だね…」
「気をつけろ。極地に飲まれると、甚大な呪いを受けるぞ」
空白は、ステンドグラスみたいな木の幹に手を付けると、自分の過去の一場面が映し出されました。
「…2.5次元国から追放されたんだ…」
「男のグループのファンから、訳の分からない理由で攻撃されている。元の国では住めなくなった」
「わ、訳の分からない…?!」
「グループのメンバーの一人と結婚するんじゃないかとか言う馬鹿げた理由でだ。僕、その人とは会った事が一度も無い」
「…は?何それー?!そのファン、マナーってヤツ成って無いんじゃない?!」
志那は、空白を攻撃している男性グループのファンに怒りました。
「…志那は敵では無さそうだ」
空白は、少し考えました。
「志那、赤いリンゴ好きか?」
「リンゴって…食べる方?…まさか、あのかなり失礼なヤツの事?」
「志那、どっちだ?」
「…分かんない」
「そうか」
二人は、黙ってしまいました。
「志那、この世界は志那の空想の世界で、志那がそのマスター。主だったら、好きにその世界を変えられる。闇覚醒だって使える筈だ」
「あ…そうだった。この世界、私の空想の世界じゃん…」
志那は、自分の世界がこんなに酷い状態になっている事を悔やみました。
「極地に長く居ては、人の心が消えてしまう。サッサと出るぞ」
志那と空白は、外に出ました。
「あ…牢屋の中に戻ってる…」
志那は、思いついた様にメイデンソードを振りかざすと、いくつもの拷問器具が現れました。
「…トーチャフィールド…?何コレ?今までに無い技か術?」
志那は、この時に闇覚醒の技だと悟りました。
「この技、闇覚醒なんだ!」
「オイ!侵入者だ!」
「捕えろ!」
牢屋の外が騒がしくなっていました。
「くっ…」
「空白!」
空白は、大勢の信者達と一人で戦ってました。
「(空白って、味方っぽいけど…何かイマイチよく分かんない子だな。年齢も分かんないし、男なのか女なのかも分かんないし、何の目的で来たのかも分からない。謎多し…)」
志那は、空白と言う人物の謎が多すぎて頭の整理が追い付かない状態でした。
「でも、私も戦わなきゃ!」
2/25/2023, 1:33:06 PM