「原因はすれ違い」と呼ばれるものに、根本的な原因がすれ違いのものはない気がする。
すれ違いという言葉を借りれば、大体のことを運命論の名の下で有耶無耶にできるだけで、直接的な要因は実に味気ないものだったりするものだ。
それは例えば恋人同士の場合、朝の挨拶を手抜きしたとか、仕事が忙しくて全然連絡がとれなかったとか、折角選んだプレゼントをあげた反応が予想してたものよりも素っ気なかったとか、そういう小さなきっかけが積み重なってできた鬱憤や不安によって喧嘩や別れに至る。
つまり、すれ違いは、日常的に相手に自分の気持ちを伝える努力を怠った言い訳に過ぎない。それをまるで「あの時の自分たちは仕方なかったんだ」とドラマチックにしっとりと思い耽る行為は、失恋してから半年以内が賞味期限ではなかろうか。
しかしそんなふうに斜に構えていた私にも転機が訪れる。そう、恋をしてから気づくこともあるのだ。
「あの時は仕方なかったんだ」と誤魔化す時間が心の傷を癒すために必要なのだと。勿論、すれ違いは原因ではない。そんなものは耳心地のいい言い逃れだ。分かってる。けれど、すれ違いでなければ諦められない恋だった。そうでなければ手放したくないものだったのに。
お題/すれ違い
10/20/2024, 6:08:16 AM