有栖

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昔保護猫を一時預かりした事がある
記憶が朧げなくらい今は大人になってしまった僕だが
当時は学生で思春期真っ盛り
親や先生に反発してばかり、今考えても恥ずかしい
ちょっと忘れたい記憶でもある。

その子猫がやってきたのは
前日に母親から休みの日の過ごし方について
苦言を呈されてしまい、反論した為喧嘩になった
ある日。

朝から口を聞いて居ない為帰りづらい気持ちを
抱えながら帰路に着くと聞きなれない動物の
鳴き声が微かに聞こえた

周りをキョロキョロ見渡すもその鳴き声の主らしき
ものは見当たらず やはり我が家から聞こえてくるようで
あったが 今朝まで動物なんて我が家にはいなかったはず
恐る恐る玄関のドアを開けると
白黒のぶち が母親の膝の上で撫でられていた。
母親は僕の帰宅に気付くと保護猫を一時預かる
事になったと説明をしてくれた
昨日の喧嘩など、今朝口を聞かなかったことなど
感じさせないような口調で 僕はドギマギしたのを
うっすら覚えている

それからも母親とは何度か衝突する事はあったが
空気を察してかぶちが間に入る事が増え
僕の反抗期は呆気なく終わり、猫好きになった。

今でも野良猫を見ると思い出す

あのぶちはあの後里親が見つかり半年も
かからずお別れをしたが僕は沢山の思い出と
幸せを分けて貰ったと思う。
ぶちに僕は少しでも幸せを返せていたのだろうか、と。

11/15/2024, 9:05:25 PM