紫苑

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窓越しに見えるのは、人が作ったものばかり。

その中で草や木は、ポツポツとあるだけ。

このまま人が何も手を加えなかったら、
草や木が、この土地を飲み込むだろう。

時々、もし、草木に感情があったらと、考えることがある。

ある人は、
『まだここにいるからね』
と言っているように感じたらしい。

だが、私にはまだ声は聞こえない。

まじまじとみていたからか、視界がぼやけて、
ピントが窓に映った自分にあった。

ふと目をそらし、白い紙に鉛筆を走らせた。

出来上がったのは、建物の間に生えた木が、ぽつんと立ったものさみしい絵だった。

7/1/2024, 12:45:27 PM