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『凍える朝』


“おはよう”

彼女はもういない。

彼女の太陽のような温かな笑顔はもう見れない。
柔らかな微笑みはもう遠くへと霧散した。

彼女はもう二度と朝を迎えることはなくて
永遠に明けない夜を唄い、ギターを奏で、花が咲くように笑うあの子と一緒に手を繋いで歩いているだろう。


心が氷のように冷たくなるのを感じる。
温もりを求める手は空を切り、ただ私はこの手を抱きしめることしかできない。


彼女を失い、小さな温もりも次第に温度を失い、枯れた花には霜がおりていた。


「───ぱぱ、あいしてる

ままも、あいしてる

だから、なかないでね」


掠れた声でそうつぶやく声は悲しそうだった。


握っていた手は力を失い
この子も、還ってしまった。




彼女が残した小さな結晶も解けてしまい
もう伝えたい言葉は誰にも届かない

喉が潰れるまで泣き叫んでも、もう二度と私の名前を呼ぶことはない。
もう二度と彼女の歌声を聞くことはできず、私はただ、冷たくなったこの子を抱きしめることしかできない。



私も愛している。


この言葉が言えたら
この凍ったような朝は幾分か温かかっただろうか。



私にはもう、凍えた朝しか来ないだろう。




11/1/2025, 2:25:45 PM