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不完全な僕
完璧になりたかった。
だから、できないことも得意なことも全力で取り組んだ。
……できないことがある時点でなれるわけがないのに。
結局、全てが中途半端。
取り繕うことだけが上手になった。

ほうら、見てよ、ワタシハカンペキダヨ?
え?欠けてる?
……気の所為じゃない?ほら。

完璧ってなんだろう?
ああ、わからない、全くわからない。
あれ、わからなかったら完璧じゃなくなる。
だんだん混乱してくる。
そもそも、私、なんで完璧になりたかったんだっけ?

ガッ、
考えながら歩いていたからか段差に気づかず転んだ。
もう、今月何回目だ?

これくらい、ダイジョウブ。
え?怪我してる?
……本当だ、でもいつか治るから。

自分で手当をしながら考える。
いつから、こうなったのかなあ?
そうだ、期待に応えたかったんだ。
それで、段々苦しくなって、
苦しくないって自分にも嘘をついて。
嘘つきなのに完璧って笑えてくる。
えーと、そこから……
あ、自分が嫌いになった。
好きになりたくて完璧になろうとしたんだ。
でも、実際は、
――――逆だった。
正直、完璧と偽って苦しむ自分と
色々と抜けている不完全な自分なら
不完全な自分の方が好きだった。
幸せそうだった。
でも、今更、遅かったなあ。
ああ、消毒が滲みる。

8/31/2024, 11:50:54 AM