初恋の日
その日は昨日とは何ら変わりはなかった。
いつもと同じ時間に起きて、同じような準備をして、同じ電車に乗った。
僕は腹の底で、繰り返される日々に飽き飽きしていたんだろう。
神様が少しでも憂さ晴らしのように僕の毎日を変えてくれたのかもしれない。
全くもって迷惑なことをしてくれた。
あの人と出会ってしまったのだから。
何も望んでないのに、運命的な出会いをするというのは中々厄介なんだ。
今の僕じゃあの人に声をかけることはおろか目を見ることすら出来ない。
もしも、明日の僕なら少しは目を見ることができたかも知れない。
鳴り止まない鼓動をどうすればいいか、今の僕にはわからない。
激しさを増した鼓動はあの人と出会った瞬間から遠ざかる毎に身体中に強く響く。
大した取り柄もない僕にあの人をどうすればいい。
……少しでも近づきたい。
胸に秘めた思いは鉛のような重さで異質な存在を放っていた。
5/8/2026, 12:31:09 AM