『スリル』
生まれてから失敗したことがなかった。
だからギリギリのスリルなんてものも味わったこともなかったし味わいたいとも思ったこともなかった。
そんな人生を送っていたから確率は収束するというのか、とある日私はある失敗をした。
被害は大きく責任も取れないほどだった。
そんなことは気にしないことはできなかったが、私は立ち上がるしかなかった。
立ち上がって明日へ歩いている気になってた。でも実際はただ足踏みをするだけ。寧ろ、足踏みでもなく昨日へそして先週へ先月へ去年へ一昨年へとずっと過去に囚われ続けていたのかも。
でも、とある少女が私を導いてくれた。
数千年前から過去に動き続けていた時計の針を元に戻してくれたんだ。
だから私はその子の為に右へ左へ翻弄しながら時には失敗ギリギリのスリルを味わいながら歩き続けるんだ。
11/13/2024, 8:22:39 AM