「ゆびきりげんまん」
物心つく前から、私とあの子はずっと一緒にいた。
このまま大きくなっても一緒なのだと信じていたんだ、ずっと。
まさか、お別れする日が来るなんて。
ひとつのものを無理矢理、半分に分けたかのように、心だけではなく、身体中に痛みが走った気がした。
絶対、絶対に忘れないで。
絶対、絶対に忘れないよ。
約束したはずなのに──
「あー、ごめん。仲が良い女の子がいたことはなんとなく覚えているんだけど……」
物理的な距離は、あの子から私の記憶を薄めてしまった。
数年ぶりに再会したことは嬉しかったけど、それだけでは終わらなかった。
あの子は私のことを覚えていなかった。
仲の良い幼馴染がいたことは、ぼんやりと覚えていたようだが、名前や声は覚えていない。
こんなの、覚えているうちに入らない。
じゃあ、あの約束は?
小指を絡めて交わした、あの約束は?
ずっと私の心を支えていた、もうひとつの約束。
何よりも大切なことは、怖くて訊くことができない。
────はなればなれ
11/17/2024, 8:04:21 AM