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君の目を見つめると
「大丈夫」それが口癖になったのはいつからだろうか。頑張るのが当たり前、辛いことも苦しいことも耐えることが普通だ。昔はことあるごとに泣いていた。転んで少し擦りむいたとか、友達と喧嘩して嫌な思いをしたとか、些細なことで親に兄弟に友達に先生に泣きついていた。それが今では、「大丈夫?」と聞かれても素直に答えることができない。引き攣った頬を無理やり持ち上げて「大丈夫」と笑って見せるだけだ。
でも、君だけは違った。君に問われると、どうしても虚勢を張れなくなる。君に見つめられると、頬を無理やり持ち上げることができなくなる。君の目を見ると、否応なく目から涙が溢れ出す。そんな私に君はオロオロとしていたが、これは決して悲しみの涙ではないんだ。そう、これはよろこびだったんだ。
 君の目を見つめると、私は唯一「正直」になれるんだ。

4/6/2026, 11:00:34 AM