ミミッキュ

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"たそがれ"

「はぁ〜…っ」
──終わった。ようやく終わった…。
 診察室のデスクに座った途端、デスクの上に上体を投げ出して、溜め息を吐く。ゆるりと首を動かして窓の外を見る。もう夕方で、少しだけ太陽が地平線に吸い込まれている。
──さっきまであんなに日が高かったのに…。
 昼休憩の後、とてつもなく色々と舞い込んできた。そう、色々と。疲労しきった脳では処理しきれず、何があったかなんて説明出来ない。というか覚えていない。
 まるで救急部の当直。救急部で研修した時の事を思い出す。いわゆる《山場》を越えた後の俺は、今の俺と同じ感じに、だらりとデスクの上に突っ伏していた。
「はぁ〜…」
 あの時の自分と照らし合わせて、何も変わっていない事に別の溜め息が出る。
──晩飯作らなきゃ。…でも体だりぃ〜、動けねぇ〜…。…カップ麺まだあったか?
 などと考えながら窓の外の綺麗な夕焼けを、ぼーっと眺める。そしてそのまま、体力が戻るまで小一時間同じ体制で溶けていた。

10/1/2023, 10:41:14 AM