「よろしくお願いします」
そう言って頭を下げたのは聞いたこともないくらい可愛らしい声をした女の子だった。
六年生の夏。
転校生が来た。
なんで今?
どうしてここに来たの?
聞きたくても聞けない。
同仕様も無いくらいシャイな自分に嫌気が差した。
何日かたったが結局話せていない。
なにかきっかけは無いものかと考えていた時だった。
彼女を見たんだ。
真っ白なワンピースをきて麦わら帽子を被った彼女。
遠目からみても綺麗だと思う程その服装は彼女によく合っていた。
そしてその瞬間、これだと思った。
あとは行動するだけ。
それだけだと言うのに体は一向に動かない。
動き出さない足にただひたすらに苛ついていた。
次の日も、また次の日も、そのまた次の日も彼女はいた。
ただ一点を見つめて、じっとしていた。
まるで誰かを待っているように。
ある日、怖くなった。
何故だか分からないけど、彼女を恐ろしく感じた。
それでも皆いつも通りだったから勘違いだと思って、気にしないようにしていた。
だって、それはきっと。
ー麦わら帽子ー
短くなりました。
それはきっと何でしょう。
想像してみて下さい。
答えはありません。
8/12/2024, 8:56:33 AM