『あの日の君を想う』
青空の下
ジリジリとした 焼けつく陽ざし
乾いた熱風が サーと音を立てて通りすぎていく
今日も良い天気だ
ミーン ミン ミン ミン
向日葵畑では 可愛らしい黄色の娘たちが
憧れの眼差しで 空を見上げる
あぁ 来たのか
君を待っていた
大地を育み
育てるものよ
君が居ぬまに
子供たちは逝ってしまった
でも、子供たちが残した宝は
ちゃんと冬を越え 今こうして色鮮やかに
芽吹いている
あぁ 分かってる
君はまたすぐにいなくなるのだろう
君は忙しいから
そういえば あの少年も
少し前に逝ってしまったよ
あぁ そうだ あの子だよ
君に文句ばかり言っていたね
あの子の育てた娘は あんなにも美しくなった
一人だけで寂しそうだったのに
仲間が増えて 嬉しそう微笑んでいる
何度、時が廻っただろうか
多くの生命を共に見てきた
様々な営みがそこにはあり
様々な いき方 がそこにはあった
あぁ そうだった
君の言う通り
彼の残した宝が 今日からあの娘たちの新しい親になるんだ
時が経ち 変わっても
繋がっていくものが確かにある
照り付ける太陽の下
不恰好な帽子を被った少年が
黄色の向日葵畑を元気よく駆け抜けていった
8/11/2023, 1:22:09 PM