凪瀬

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休み時間に友達の席まで行き、立ちながら話していた。

「いや、まじで、今回数学やばいと思う」

「えぇ?数学は大丈夫じゃないの?笑」

「ちょ、私が数学弱者なの知ってるよね?笑」

なんて、あと1週間後にあるテストの話をしている。
すると、

「っわ、」

急に腰あたりに腕が回ってきて、そのまま腕に引かれてバランスを崩す。
倒れかけている私の体を受け止めるように、私を引っ張った腕の持ち主の膝の上に座る。

「なに、?」

少し上にある顔を見上げるように見る。

「んー?そこにいたから?笑」

とか、なんでもないように答える彼。

「ふーん」

と、相槌を打っておく。
膝に座っているのはそのままで、また友達の方を見て話し始める。

「数学さえ大丈夫だったらいけるんだけどなー」

「数学はやれば出来るって笑」

「絶対クラス間違ってるよ、理系クラスに行きな…笑」

「やだよ笑だって物理とかやりたくないもん笑」

そう答える数学強者の理系な友達。
なんと無慈悲な。

「確かに物理はやりたくないけどね」

一応物理はやりたくないので同意しておく。
話していると10分という休み時間はすぐに過ぎてしまう。

「そろそろ席戻るね」

「はいよー」

席に戻ろうと立ち上がろうとすると、
さっきよりも、ぎゅっ、と腰に回っている腕の力が強くなった。

「そろそろ戻るから離して」

「ふっ笑つれないなぁ」

なんてケラケラ笑ったと思ったら、ぱっ、と。
意外とあっさり離してくれた。
立ち上がって、自分の席に戻ろうとすると。

「あ、これあげる」

さっきの数学の時間に暇だったから書いたんだよねー、なんて言いながらなんかの紙を渡してきた。

「ちゃんと授業聞きなよ笑」

「聞いてる聞いてる笑」

はいはい戻った戻ったー、と言われ自分の席に座る。
さっき貰った紙を見ると、少し上の部分が折れていた。
紙に書かれていたのは、

"128‪√‬e980"

丁度今は英語の授業で、
先生が黒板を書きながらその言葉を読み上げると同時に、
渡された紙を折り目に沿って折ってみる。
先生の声と、答えが重なる。
彼の方を見ると、
私の反応を見るためにこっちを見ていたのか目が合った。
それに気づいたのか、ふっ、と笑って口パクで伝えてきた。

"I Love you"


Write By 凪瀬






6/13/2025, 7:34:09 AM