規則の厳しい寮で生活するあなたと、
由緒正しい家で生活するわたし。
お互い門限なんてとっくに過ぎた23:00。力尽きそうな街灯のある小さな公園のベンチで肩を並べる。
なんの肩書にも縛られない何者でもないふたりきりのわたしたちは、子どものように純粋無垢で、大人のように成熟している。ふたりきりの時だけではどんな矛盾もどんな我儘でも調和する。
「会えないさびしさを紛らわしてくれる人よりも、会える喜びを満たしてくれる人のほうが好きです。」
「既読がつかないメッセージよりも、返信がない既読のメッセージのほうが嫌です。」
「監視盗聴のぬいぐるみよりも、GPSのネックレスのほうがいいです。」
会える日への意識誘導、些細なことでも頻繁に送られてくるメッセージ、突然のプレゼント。
あなたの独占欲は日に日に増していく。
なのに、目の前にいるわたしと目が合わない。でも、ひたすらわたしの全てを自分のものにしようとはする。
何を求めているのか。聞けたらきっと壊れてしまう。
多分、何者でもないわたしを求めているから。
わたしがそうだから。
9/21/2025, 2:43:03 AM