ふわり、斜陽に洗われたような綻びが零れている。
重苦しい苦味が、底に滲んでぼやけている。
そしてどちらも重なって透け合った。
ああ、そうか
その虚空には抽象の自分が満ちているのだ。
いつだって映し出されているのは
他でもない自分だなんて
皮肉なまでに、幸福だ。
揺蕩う不透明が心を濡らし、豁然と淡く広がる。
ほらね、また
朝霧が散るように表情が変わった。そんな気がした。
¦鏡の中の自分¦
11/3/2024, 5:24:57 PM