ミヤ

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"風景"

昔々の春の一幕。

猛スピードで後方に流れていく風景。
人も建物も、過ぎゆく全てが等しく溶けて混ざり合う視界の中、僕の手を引くたった一人だけが鮮明で。
真っ直ぐに突き進む矢のように、曖昧な世界を切り拓いていく背中を眩しく思った。

不意にぴたりと止まり、手が離される。
急な停止に眩んだ目を数度瞬くと、そこには。
桜降る並木道の真ん中で、手を広げて幸せそうに笑う貴女がいた。

4/12/2025, 5:32:33 PM