安達 リョウ

Open App

つまらないことでも(隣に居れば幸せ)


わたしは面白くて楽しいことが大好き!
デートに行くなら断然遊園地、テーマパーク派。
ハイキングや体験型アクティビティにも興味があって、何せ体を動かして遊ぶことが好きで仕方ない。

だから彼氏になる人も絶対同じタイプじゃないと!
楽しさを分かち合えるひとじゃないと無理。
顔より背よりもフィーリング。
なので大人し目のひとはまあ、ナシかなって思ってる。
けどそれは仕方ないよね、相性の問題なわけだし………。


俺は穏やかに、日々を慎ましく暮らしていたい。
デートに行くなら美術館や博物館、あと今流行りのアートアクアリウムにも興味がある。
二人で手を繋いで、落ち着いて見て回れる空間が居心地良くていいと思う。

何なら家を行き来して、料理や菓子をあーだこーだと作ってみるのも悪くない。
顔より体型よりも安心感。地に足をつけた包容力。
なので賑やかな、騒がしいひとは苦手かなと思ってる。
けどそれは仕方がないよな、相性の問題なわけだし………。


「………」
「………」

人というのはわからないもので、真逆の人間に惹かれたりするのだからタチが悪い。
自分に無いものに憧れる、といえば聞こえはいいが、いざ付き合うとなるとこれがなかなかに難しい。

相手を知って想えば想うほど、

つまらなくない?
我慢してない?

………なんていらないことを考えてしまう。

「あの」
「あのさ」

―――とりあえず無難にと選んだ何度目かのショッピングデートで、彼らは思い切って口を開いた。

「もっとお互い色々と知りたいからさ」
「わたしも。もっとたくさん分かち合いたいなって思ってた」

だから、

「君が」
「あなたが」

笑顔になれる場所へ連れて行ってくれない?


………趣味や趣向がてんで違っていたとしても、それはそれで構わない。好きな人の、笑った顔が見たいから。

同じ思考で同じ言葉を口にした時点で、二人のフィーリング最高じゃん?と。

彼らは繋いだ手を握り直して、共にただ純粋に、笑い合った。


END. 

8/5/2024, 6:48:14 AM