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 小指の付け根の横のところが擦り切れて痛くって、うまく歩けなくなるまでは幼さが代わりになった。
「なくなってはじめて気付いてばかりでは何も意味はないんだよ。」
 そうかな。
 夜明けの空に消えていく星々より美しいものばかりなんだけど不安なばかりなんだ?あの星を落としてみせたら考えなくていいことばかりだ。この重力で。笑顔になってくれるなら靴底が擦り切れるまで走るからさ。半年は掛かると思うけどさ。
 優しい魔法で地獄を見せてよ。月の石を掴んで。肩にかかる詩吟の温度だけが秘密の合図だった。きみをこの世界でたった一人にするための冒険譚のための犠牲になる準備を、バックパックいっぱいに詰め込んだ。
覚悟だった。

1/26/2024, 2:06:29 PM