懐かしく思うこと
将棋を指す音
将棋盤の前に胡座で座り片膝を立てる。
たまに聞こえる駒を置く音。
駒の行く末を考えているんだろう。
片膝に体重をかける傾いた体制なのに、微動だにしない。
そんな兄の背中に、私はいつも緊張感と同時に心地良さを覚えていた。
そうだったはず。
心の感覚など覚えてないが、そうだったと記憶している。
過去は変わらない。
振り返っても私に何かを与えてくれることはない。
記憶として存在する過去は、総じて心を締め付ける。
幸福な思い出はいつしか記号になり執着になる。
苦しい思い出はいつまでも心に棲みつく。
過去なんて思い出さない方がいいのだ。
10/30/2024, 4:03:36 PM