鏡の中の自分を見ると、これが今こうやって
考えているのだなあと思う。
今、この文字を読んでいること。
スマホを持っている手が視界にあること。
一人称視点だ。ずっと。産まれてからずっと。
鏡を見ると思う。
私は“私の世界”の主人公だと。当たり前ながら、改めて。
周りの人のことを考えて、というのも分かるけど、
主人公なのだから、
その他のことはただのイベントでしかないのかも、と
思うこともある。
鏡を触る。勿論、鏡と私の間で指先が触れ合う。
指先がじわじわと冷たくなる。
触れている部分に、体温が移る。
そうやって混ざり合って、体温が等しくなって。
それでも、私が動くから鏡の中の私が動くのであって。
どうやっても、この世界の主人公からは逃げられないのだ。
向こうの私が、鏡の中から逃げられないのと同じように。
「鏡の中の自分」 白米おこめ
11/3/2024, 11:52:57 AM