「それでね、 女子高生がきゃっきゃと楽しそうに話しながら通ってさ?」
「うん」
「私もあんな若い頃があったな〜とか、 思ったわけよ?」
「今も十分若いけどね?」
「そりゃあ今だってまだ20代ですし? 若いんだけどさ、 やっぱ高校生の若さには敵わないじゃない?
あの頃って戻りたくても戻れない、 一生に一度の出来事だと思うの。 どうせならもう一度戻ってみたいわよ」
「高校生の頃も可愛かったよね。 もちろん、 今も可愛いけど」
「君はどうせ『あの頃も可愛かった〜』とても言うんでしょうけどね」
「さすが。 バレバレだったか」
画面の向こうの君をそっと撫でる。
君に比べて、 随分歳をとってしまった。 その分色々な経験もしたよ。
残される僕のことがどれほど心配だったかは、 このテープの山でわかる。
僕を思ってくれてありがとう。 そちらに行ったら、 たくさんの土産話と、 君への愛を語るよ。
そのために僕は、 今日も生きているんだ。
愛しているよ。
3/9/2023, 6:21:08 PM