ブランコ
「ブランコって、怖い話に出てき過ぎだと思いません?」
『言われてみれば確かにね。他の遊具より頭一つ抜けてる感はある』
「幽霊にも動かしやすいんですかね?ぶらぶらしてますし」
『かもね』
「特に今みたいな薄暗ぁい夕暮れ時なんて、怪談話の王道ですよね」
『そうだね』
「…先輩」
『…何?後輩ちゃん』
「あそこで虚無の顔で延々と物凄い勢いでブランコ立ち漕ぎしてるのって新人くんですよね?!」
『…僕には何も見えないなぁ』
「思いっきり目が泳いでますよ!」
『現実なんて見たく無い』
「直視してくださいよ!少なくとも私を置いていかないで!先輩でしょ!」
『ホラーに年齢なんて関係ないんだよ』
「お化けじゃないですよ!知り合いですよ!」
『その事実がより一層恐怖を掻き立ててるんだよ』
「こんな唐突に人怖なんて体験したくなかったです」
『僕もだよ』
「え、あれ。声とか掛けたほうがいいですかね?」
『分かんない。何にも』
「これ、新人くんが幽霊に取り憑かれてるとかじゃ無いですよね!助け求められてる?!」
『いや、でも、あの虚無顔なに?悟り開いた顔してるよ?何なのあれ?』
「もしかして何か悩みがあったり?!思い詰めてる?!」
『どのみち話しかけなきゃ始まらない…よね』
「そ、そうですね。はい」
[どしたんすか]
「うっひゃあ!」
『うわぁ!』
《キャスト》
・後輩
ホラーはフィクションだから楽しめるタイプ。リアルは無理です。
・先輩
頭を使う系の怖い話が好き。意味怖とか。リアルは無理。
・新人
久しぶりにブランコに乗ったら止め方が分からなくなった人。何やら二人が深刻そうな顔で話していたので、何かあったのかと心配になり気合いで飛び降りた。真似は厳禁。
2/2/2024, 12:06:16 PM