「星が溢れる」
彼の目は不思議な色をしている。
濁った青に、黄色の星が散りばめられているような瞳。
星空のようで綺麗だと言ったら、悪趣味だと返された。
彼はすぐに自分を卑下する傾向がある。
少し前のとある日、私は階段から落ちて一週間寝ていたらしい。らしいというのは、階段から落ちた後の記憶が全くないからだ。ただ、寝たきりで目も覚まさなかったということだけを後から知った。そして、そのとき私につきっきりで世話をしてくれたのは彼だという。
他にも看病をしてくれた方から聞いてみると、曰く、彼は私が目を覚まさなくなった3日目に1人で夜に泣いていたという。
私は、なんとも不謹慎極まりないが、見てみたかったという考えが最初に出てきた。
彼の星空のような目から涙が溢れるのは、まるで、星が溢れる様な光景なんだと、それを綺麗だと思ってしまったからだと。
3/15/2024, 2:42:11 PM