宮森マルメ

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 しとしとしとしと、梅雨の雨でたっぷり栄養を貰って育ったアジサイの葉の上を、ナメクジさんとカタツムリさんが歩いていました。

「良い感じにジメジメしてきましたね、ナメクジさん。ワタクシは歌を歌いたい気分です」

 と言って、カタツムリさんは雨の中歌い始めました。

 とても綺麗な歌声で、ナメクジさんが聴いていると、マイマイカブリと言う昆虫がやってきました。

「綺麗な歌声ですねマドモアゼル、ちょうどアナタのような美味しそうな婦人を探してたのです」

 むしゃむしゃくちゃくちゃ、なんかカタツムリさんが食べられて、助けを求めてたけど、ナメクジさんには関係ありません。

 何故なら、カタツムリさんは友達でもないし、さっき知り合っただけで、馴れ馴れしく急に歌い出して、勝手に天敵であるマイマイカブリを自分で呼ぶなんて、雨が降るとテンション上がって危機感を失うのだろうか?

 ナメクジさんは、基本天敵を呼ばないようにしてるので、カタツムリさんが食べられてる隙に逃げました。

 この世は弱肉強食。それを忘れた瞬間にエサとなる。そんな残酷な自然界の掟が、大きく育ったアジサイの中で起こっておりましたとさ。

6/13/2024, 9:26:40 PM