美しい、とため息を吐くのは、心が豊かな証拠。
美しい、と思えない時、心が疲れている証拠。
なら、心が疲れている時は、美しいものを探せばいい。
とはいえ疲れている時は全てのものが色褪せる。
周りの人間が美しいというものが、美しいと思えない時、それはきっと絶望なのかもしれない。
でも、心配しないで。
美しいものを見たいと思えるなら、その心はまだ生きている。その目や耳は、美しいものに触れたいと望んでいる。
どこを探せばいいかわからなければ、まずは空を見上げて。
高層ビルや電柱や電線のような、邪魔が居ない空を探して。
なにもない青い空。ふわふわの白い雲も流れているかも。雨上がりなら虹も出る。
ただ、太陽は見てはダメ。眩しすぎて目を焼かれてしまうから。
空を探して高い場所に行く時は、落ちないように気をつけて。心が疲れている時は、きっと空を飛びたくなってしまうから。けど、人間は空を飛べない。ちゃんと地に足を付けて、空を見上げて。
夕方になれば、空はまた表情を変える。オレンジ、赤、紫、青。そのグラデーションはきっと誰もが美しいと感じたことがあるもの。山や雲が太陽の光を柔らかく受け止めると、その輪郭が光る。そこで私たちは、つかの間太陽が作り出す不可思議な境目に目を向けることを許される。
夜は満点の星空。一番星を探して。
ぽっかりと浮かぶ月を探して。
見えない時は、また明日。
いつだって探しにいける。
空は必ずそこにある。
それが美しいものなのだと心に刻んで。
空だけじゃない。この世には美しいものが溢れている。
いつもそこにあって、いつでも確かめられる。
その時、零れたため息は、
きっと美しいという感嘆のため息。
1/16/2023, 11:26:48 AM