【そっと包み込んで】
「ねぇねぇ、あのね。」
あなたはとてもおしゃべりで、くるくると良く動く感情を正しく上手に表現できて、明るく社交的。
「かずくん。ちょっと良い?」
だから、その明るさに辛いことも悲しいことも包んで隠してしまうのも大得意で。
「え?なに、なに?かっちゃん!どうし…ふぇ?」
ちょっと来て、と手招きして、すっぽりと抱きしめてしまう。
「お疲れ様、ちょっと休むの手伝って欲しい。」
あなたの匂いが心地良くて、抱きしめた体温が暖かい。
「んぇ?かっちゃん、お疲れ様?」
えへへ、と嬉しそうに弾む声が少しだけ揺らぐ。
「和真、お疲れ様。大変だったでしょう?今日と明日は、ゆっくり休もう。」
とんとんと、あやすように背中をゆっくりと叩いて、ゆっくりと囁くように呟く。
「えへ、あ、あれ?な、なに…?や、ま、まって、ま―――っ!」
目一杯に頑張っている背中を心を労りたくて、後頭部を撫でながら自分の肩口に相手の顔を埋めさせる。
「かっちゃん、ずるいー。」
泣き顔は見せたくないと気を張っているのも、笑って済ませてしまえと意地を張るのも、いじらしくて良いけれど、今は流せるのなら流してしまって欲しかった。
5/23/2025, 10:00:38 AM