どうせ流すなら風がいい。
過ぎ去ったことを水に流そうと思えば、それは水は冷たくて重いし、まるでもともと何もなかったかのような状態まで跡形もなく、さらりと流してくれそうだけれど
水よりも質感のない風のほうが、もっと融通がききそうに思う。
思い出したくないけれど、忘れたくない過去を
風ならば、一度遠い土地まで乗せていく
風の精になった人魚姫みたいに、いろんな景色を旅していく
そしてある程度の時を経て、私のところに帰ってくる。
その頃には、私も大人になっている。煮こごりのような感情もしっかり分別できる人間になって、私は今よりも穏やかに、風を迎える。
4/30/2023, 4:10:26 AM