あの人を失ってからというもの、私の世界は全てが曖昧になってしまった。空も、海も、山も、建物も、時折部屋に入ってくる見知らぬ男も、全て灰色。私にとってはどうでもいい。
灰色の空虚な世界から逃げ出したくて眠りのなかに身を投げても、あの人の思い出は遠く霞んで二度と鮮やかには戻らない。あの人と見た空も、海も、山も、建物も、全てが混ざり合って一つになってしまう。
私は、これが夢か現か、それすらも曖昧な世界で、今日も魂を失ったまま彷徨い続ける。
(あいまいな空)
6/15/2023, 6:36:06 AM