星屑

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青い青い空が僕を呼んでいる。
ふーっと吐いた息は白く天に昇って消えてしまう
まるで引き寄せられるかのように。
「ねぇ、お兄ちゃん呼んでるよ」
女の子が空を指さし僕に目をやる。
僕は思いつく限りの笑顔を作り少女に向き直った。
「そうだね、呼んでいるね。でもね、まだ行けないんだ。やり残したことがあるからね」
そう言うと少女はきょとんと不思議そうな顔をする。
しばらく考え込んだ後そっか。と一言呟いた。



「あなた、もうすぐ1年が経つのよあっという間ね」
「うん、そうだね」
「私頑張ってたのよ」
「うん、知ってる。君は皆に心配をかけまいとしてくれていたね」
「、、、ねぇ、帰ってきてよ!!」
「、、、ごめんね」
「私も一緒に、、、」
「ごめんね、辛い思いをさせてしまったね。
でもね、君にはずっと生きて笑っていて欲しい。たとえ僕が居なくても、、、
いつも君の幸せを願っているよ」
「、、、あなた?」




「お兄ちゃんもう行っちゃうの?」
「うん、そろそろ行かなくちゃ」
「そっか、寂しくなるね」
「大丈夫、上に行くだけさ。空からみんなのこと見守ってるよ」
「何それ、プライバシーの侵害!」
「はは、手厳しいな」
「なんてね冗談よ、お父さん」
「、、、気づいてたのか」
「お母さんを傷つけた仕返し」
「そうだね、それは仕返しされても文句は言えないな」
「じゃあね」
「うん、お母さんによろしく」
少女は必死に泣き顔を見せまいとしているようだった。



明るく空が光ったかと思うと。お父さんの姿は無くなっていた。
残るはどこまでも青い空だけ。
「帰ろ!お母さんが心配しちゃう。それにお父さんも!」
お父さんがどこかで微笑んでいる気がした。
青い青い空の上で





5/3/2025, 3:17:34 PM