ストック1

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ふたりがどこから来たのかはわからない
具体的に、どういう存在なのかも
ただわかることは、普通の人間は頭の上に輪っかなど無いし、翼も生えてない
それから、私以外の人間からは見えないなんてこともあり得ない
人のようで、明らかに人でないもの
ふたりは人間の生活を見に来たらしい
ふたりが仕える存在が、長らくこの世界を見られない状態になっていて、その存在が頑張ってギリギリふたりを送り込めたのだと説明された
その存在がなんなのか、私にはよく理解できなかったけど
このふたりも、このふたりが仕える存在も、世界が混沌を極めているのではないか、すでに滅んでいるのではないかと心配していたそうで、なるべく急いでやって来たそうだ
でも、この世界は今、至って穏やか
気の遠くなるような大昔には戦争とかが起きていたらしいけど
現代では、サイモンの夢という複数のシステムによって、人々が適度に快適な生活を送れるような社会が構築され、資源や土地などを巡って争うこともない
ふたりは興味深そうに、見て回っていた
色々なことを知りたがったから、私は世界のさまざまな情報が集まる、ライブラリーを勧めた
私が端末を操作して、ふたりの興味の赴くまま、情報を調べる
そんな感じで何日間も、私はふたりとともに街を回ったり、情報を調べたりした
なぜふたりは自分たちで自由に動かず、私について来るのだろう
そう思って聞いてみるとふたりは、誰かに認識されないとここでは活動できないのだと話した
だから、私にだけ姿が見えるように現れ、認識してもらったのだと
他の人に見えなくしたのは、混乱を起こさないためだと言われ、納得する
一ヶ月ほど経った時、ふたりはそろそろ帰ると告げた
仕える相手に、いい報告が出せそうだとのこと
それが終われば、次は別の世界の観測をしないといけないようで、まだまだ忙しさは続くらしい
その世界、住人からは地球とかアースとか、様々な呼ばれ方をしているとかなんとか
まあ、私には関係ない
ふたりは、サイモンの夢が安定してるなら、この世界は大丈夫だろうと言うと、感謝の言葉を残してどこかへ去っていった
本当に、不思議なふたりだったな
また来るようなことを言ってたから、また会えるかな
できることなら、また会いたい

8/30/2025, 11:30:44 AM