とある恋人たちの日常。

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 一緒に暮らすようになって、スマホの画像フォルダには彼との写真が沢山ある。
 
 彼への気持ちを自覚した時にイベントで彼が写っていた写真。こっちを向いているわけじゃないけれど、私にとって数少ない彼の写真。
 
 そこから一緒に遊びに行くようになって、写真が増えていく。今ではデートする度に写真を撮っていた。
 
 そんな写真をデジタルフォトフレームに格納してある。
 
 たくさんの笑顔、たくさんの大好きな彼。
 
「なに見てるの!?」
 
 後ろから私の手元にあるデジタルフレームを覗き込んだ。そこには、まだ彼とは知り合いくらいの頃のイベントの写真。
 
「え、こんな頃の写真?」
「はい! 私の宝物です」
 
 胸を張って彼にそう言い返すと、くすっと笑ってくれる。
 
「ねえ、いつから俺のこと好きだったの?」
 
 彼が何気なく聞いてくれる質問に私は満面の笑みでデジタルフレームを彼の前に突き出す。
 
「もちろん、最初からです!!」
 
 驚く彼。
 だけど、嬉しそうな顔で私を抱きしめてくれた。
 
 このデジタルフレームには私たちの想いの軌跡がつまっているんだから!
 
 
 
おわり
 
 
 
三四九、軌跡

4/30/2025, 1:40:19 PM