愛美璃

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暑い夏の日。

今日は補習の為学校に来ていた。

2時間の補習を終えた私は下校する準備をしていた。

友人が嬉々として話しかけてくる。

どうやら明日行われる地区の花火大会に

大好きな先輩と行く約束を取り付けたらしい。

良かったねと一言返事をすると友人は満面の笑みで頷く。

私には縁のない話だ。

花火大会やお祭りに興味がない訳では無い。

友達と行くこともあるだろう。

人を好きになるということがまだよく分からない私には

縁のない話、ということだ。

友人はまだ補習があるからと教室で別れ帰路に着く。

真夏のお昼前の屋外は燃えるような暑さだ。

今にも溶けてしまいそうな中1人歩く。

ぴとっ

冷たい何かが首にあたり反射的にびっくりして振り返る。

そこには同じクラスの男子が1人、

缶ジュースを持って意地の悪い顔で笑っていた。

なんなのかと聞くと彼もちょうど補修が終わり

帰るところなのだと言っていた。

そこから少し他愛のない話をしながら一緒に歩く。

分かれ道にたどり着き別々の道になるので別れを告げる。

ねぇっと先程よりもワントーン高くなった声が聞こえる。

何かと首を傾げると、彼は少し顔を赤らめながら、

明日の花火大会一緒に行かねぇ?

と口にした。

今まで仲良くしていたが友達としてしか意識していなかった。

そんな男子から、

頬を赤く染めてそんなことを言われてしまったら

なんとなくでも分かってしまう。

びっくりして、私もつい

あ、うん...

と返事をしてしまう。

よっしゃっと小さくガッツポーズをした彼は

んじゃまた連絡する!と手を振りかがら走って遠ざかっていく。

そんな彼を私は呆然と見えなくなるまで見つめていた。

顔が熱い。

心臓がバクバクとうるさい。

縁のない話だと少し前まで思っていたのに。

この胸の高まりは...一体...。

【恋空】

7/7/2025, 7:36:34 AM