【天気の話なんてどうだっていいんだ。
僕が話したいことは、】
「健康的な朝だな。」
朝。登校中。何気なく放つ天気の話題。
別に聞き飽きた訳じゃないけど。少し退屈。
「世界を覆いそうな鉛色の雲だな。」
「色とりどりの傘が笑ってるみたいだ。」
晴れの日。雨の日。曇りの日。
踊るように話は変わる。
君はいつも、楽しげに天気の話をするね。
君にとって、この世界は甘くて、辛くて。
少し酸っぱくて…………それでいて、少し夢心地になるのかな?
私、実は知ってるんだよ。
君が本当に聞きたいこと。
君が本当に知りたいこと。
……君が本当に欲しい言葉。
雨の話をするのは、自分のぺしゃんこになった髪が気になるから。
晴れの話をするのは、沢山笑って欲しい人がいるから。
曇りの話をするのは、…自分に自信がないから。
それはふかふかのソファに沈むように。
見えない心の扉の前に、ソワソワしながら立ち竦むように。君は誰かの……愛を伝えたい、誰かを想っていることを。私は知ってる。
…………だって。
【完璧な男になんて惹かれない】
なんて、私が言ったからでしょ?
君は本当に、わかりやすい。
そんなわかりやすい君の事が、私はとても好いていて、心から愛おしいと想うよ。
割れた目玉焼き。揺れるカーテン。バカでかいケーキに、濡れたシャツ。吐き慣れたジーパン。
……君の話には、いつもひとつ足りないね。
ほら、言ってごらん。
明日の自分に期待しないで。
ぐるぐる焦ってる君を見るのも楽しいけど、私はそろそろ聞きたいな。
今日も一日が終わろうとしてる。
終わりを告げる影法師。今日はここでバイバイかな。
私は少し切なくなる。
「……あ、あのさ。俺、本当は天気の話じゃなくて……あの……。」
夕焼けに照らされてか、真っ赤な顔の君。
まるで、耳としっぽが生えたようにぷるぷると緊張してるのが伝わってくる。
そんな君の姿を見たら、私はどうしたらいい?
どうしたら、悔しいくらいにニヤける顔を抑えられる?
私は、嬉しくて、嬉しくて。子犬のように震える君を前に言い放った。
「君の事、ーーーーあいしてるよ。」
私のその一言に、君が見せてくれたその表情を。
私はきっと。忘れない。
今日も君は天気の話。それはくるくる回るメリーゴーランドの様。
君は私に対して。
「僕に愛される気があるの?」って聞くけどさ。
私の方こそ聞きたいよ。
「私に愛されてる自覚ある?」
私は贈るよ。イエローの薔薇1本をね。
「今日もいい天気だ!」
【歌詞・歌手】
愛を伝えたいだとか/あいみょん
【替え歌】
黄色の薔薇
5/31/2023, 11:27:59 AM