君と見た虹
初めて来た場所ってわけではないけれど、泊まるホテルを変えればそれなりに目新しさはある。
君とはそれなりに長く付き合っているから、新鮮味はないけれど、安心感はある。
雨に降られて来た事を少しだけ後悔しつつ、雨が弱くなった外の風景をホテルの部屋から眺める。
「綺麗だね」って君が指差した雲。目を凝らしてみれば曇天の虹。付き合いたての頃なら「綺麗だね」って本心で言えたのだろう。
どうみても、綺麗ではない虹。
「うん。そうだね」
精一杯の相槌。
こうして、些細な温度差を感じるたびに、付き合いを続けてよいものか。ふと、考える。
もう少しで30歳。押すも引くも焦りは禁物。だが焦る。
2/22/2025, 3:18:42 PM