血の繋がりのない家族。親友。自分に一番近しい生命。
欲しかったすべてがあなたの形をしていた気がして、ふたりを彩る呼び名を送った。なのに私はひとりで駆け出してしまった。
ああ、置き去りにされたいのち、どんどん離れたいのちへ。全力の軌跡があなたの反面教師になればいい。たしかに願っていた。
「いやまったく残念だけど、そうはいかないんだよね。……ほら、いちばんのともだちだから」
薄く引き延ばされて千切れそうな情を辿り、先へ先へと向かう私の手を取る人。飛び込んできた眩さを押し潰しそうなほど抱きしめて、ふたりで奈落の先へ光り落ちる。
こっそり作った秘密基地みたいに幻の蝋の匂いが満ちた。踏み荒らされた純情の残骸、廃墟と草木でできたぬるい生死の中で。どこまで輝けるか試してみようよと、あなたはいたずらっぽく笑った。
7/24/2023, 1:24:41 PM