なんとなく一緒に映画を見たり。寝ている隣で本を読んだり。奴と過ごす時間は嫌いではないし居心地が良いとさえ思っている。
だがな、それだけだ。それだけ。
それ以外の感情はない。断じて。
それはそれとして俺にはどうしようもないときがある。
ひどく心が乱されて内臓の全てをぎゅうぎゅうに締めつけられていく。
息をするのがやっとで何かにしがみつきたくなる。
その時きまってそばにいるのは奴だ。
普段は余計なことまでべらべらと喋るうるさい奴が
こういうときはだまって俺の言うことを聞いてくれるのだ。
腕を貸してくれる。その腕で抱きしめてくれる。
何も言わず隣で寝てくれる。キスを、してくれる。
好きだ。好き。好きなんだ。
あんたを愛している。
もっともっとそばに。
この手をずっと握って。
嘘でもいい。俺を好きと、愛していると言ってくれ。
気付いてくれ。気付いていないふりをしてくれ。
ひとりではどうしようもない愛を
声には出せない愛を
俺にしか聞こえない声で
いつだって
あんたへの愛を叫んでいる。
愛を叫ぶ。
5/12/2024, 3:59:52 AM