夜半の廊下は底冷えがするほど静かだ。自室へ戻ろうと歩き出したのはいいが、足袋越しに伝わる床板の冷たさに思わず肩をすくめる。「身体を冷やすのは良くないよ」背後で衣擦れの音がして振り返るよりも先に影が落ちる。そっと私の肩にかけられた外套から微かな体温が伝わってくる。言葉は少なく、私達の距離は決して触れ合うほどでもない。けれど、彼が例え人でなくとも、そのぬくもりは確かなものだった。【寒さが身に染みて】
1/11/2026, 4:57:04 PM