紫水リオ

Open App

お題「日の出」

白く染まった吐息が、風に乗っては消えていく。
冷え切った掌を擦り合わせ、ほっと息をつく。
「ねぇ、見て!」
彼女の呼びかけに顔を上げると、水平線が優しい橙色に包まれていた。
「綺麗……」
思わずこぼした彼女の一言に、僕はただ「そうだね」と返すだけだった。
まるで僕らを飲み込もうとするかのように、大きく広がっていく眩しい光。
飲まれてしまってもいいや──そう思ってしまうほどに、素敵な日の出だった。

1/3/2024, 11:11:51 AM