ころり、と彼女が私にくれた
きっと素敵よと彼女が笑った
それを甘いと呼ぶのだと
それを赤いと呼ぶのだと
彼女と私が であることを
それが 事であると
私達は、知ってはいけなかった
蛇よ、知ってはいけなかったのだ
<二人だけの秘密>
ぱちり、と張られる頬
君は困ったように笑っていた
「駄目だよ、こんなことをしちゃ」
私は黙って手を見下ろした
悲しくて手を見下ろした
「悪い子を誉めたらいけないよ」
痛みのない頬を撫でる君
水面みたいに優しい君
君に正当な言葉を伝えるだけのこと
どうしてこんなにも難しい
<優しくしないで>
5/4/2024, 5:46:43 AM