木弓るん

Open App

静寂に包まれた部屋

二枚目の扉を閉めると
外の喧騒が嘘のように辺りは静けさに包まれる
この部屋で
彼女はいつものように僕を待っていた
ベッドに腰掛けているが
その双眸に光はなく
ぼんやりと僕を見つめている
だけど
どんなにゆっくり閉めても小さな音を立てる扉
君の近くに行こうとする僕の些細な足音
それだけで君はびくりと肩を震わせ
怯えたように後ずさる
この部屋はいつだって静かでいなければならない
僕は静かに君を見つめることしかできないし
君が何か言葉を発することもない
こんなところに閉じ込めていたって
君の心は帰っては来ない
それでも
少しでも君を延命させたいと静寂を保ち続けるんだ

9/29/2023, 2:27:22 PM