この嘘つき野郎
吐き捨てるように、笑顔で映る写真立ての男に呟いた
今の俺の表情を見たら、アイツは困ったように
笑うだろうか
お人好しで呑気なやつだからきっと、そんなリアクションをとるだろう。あぁ、予想はつくさ。
それだけ、俺たちが過ごした時間は長かった
ガキの頃からの付き合いだ。
一緒に、くだらない事で笑って、怒って、失恋したら
笑い飛ばして、何故かお互い号泣して朝まで語り明かしたりもした。
大人になってもこれからも、そんな風に付き合いが
続くと思ってた。思ってたのに。
「、、、馬鹿野郎。なんで、何も言わなかったんだ」
ひと月前、電話で久しぶりに飲みに行こうぜと
話してただろうが。お前は、あぁ、絶対行こうと言っただろうが。
この嘘つきヤロウ、馬鹿野郎、、バカヤロウ、、
いや、馬鹿野郎は、俺の方だ、、
ガキの頃からの親友だったのに、俺はアイツが
優しくて、気の弱い所があるのを知ってたのに
助けてくれって、言えないやつだったのを呆れてしっかりしろよと何度も言うくらいに理解してたのに、、
よりによって、なんでアイツの静かなSOSに気づいてやれなかったんだ
電話口で、喋るアイツの声が少し暗く沈んでたのを
違和感を覚えたのに。
後悔から、胸の奥が潰れるような嗚咽が漏れた
もうこの世界にアイツはいない。それだけが真実だ。
だがな、俺はこれが別れだとは思わない、いや
認めてやらねぇからな。今度会った時は、申し訳なさそうに笑うお前の顔、一発ぶん殴ってやるから覚えとけよ。
だから、しばしの別れだ
「また会いましょう」
11/13/2024, 1:25:52 PM