備忘録

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愛があればなんでもできる?
何となく流したラジオから聞こえてきたワンフレーズ。愛があれば。私がユキを探すのは、愛ゆえなんだろうか。このユキへの執着は、愛なんだろうか。読んでいた本を閉じ、古さを感じる皮の表紙を撫でる。本に喰われた人間の生き返らせ方なんて調べてしまうくらいユキを取り戻したい。何年とあの本の行方を追ってしまうくらいユキを求めている。双子だから。姉妹だから。たった一人の肉親だから。ユキと結ばれた縁が細く細くまだ繋がっていてまだ死んでないっておもってしまうから。少なくともこの世界のどこかに、あの本の中に、まだユキの魂が囚われていると確信しているから。これは愛なんだろうか。
「……コーヒー飲も」
膝に乗せた本を机に置いて立ち上がる。暖かい日差しの降り注ぐテラスから薄暗い室内へ。春から夏へ移ろってはいるものの日陰はまだ少し寒い。
『ふたごはふたりでひとりだよ』
誰が言った言葉だっただろうか。
『たりないならさがさなきゃ』
そうだね。探さなきゃ。だってこのままじゃ人になれない。当たり前を取り戻さなくちゃ。
『あいじゃないよ。わたしのはんぶんかえしてほしいだけ』
キッチンの戸棚を開けようと上に手を伸ばす。くらり。視界が揺れる。たたらを踏んでドキンと心臓が跳ねた。「……なにこれ?」
こういう時ってとりあえず座ればいいんだっけ。くらくらと揺れた感覚のままなるべくゆっくり座る。でも、ここからどうしたらいいか分からない。
『はやくさがしてよ』
声が降る。ゆっくり顔をあげるとにっこりと笑う幼い自分がいた。
『ゆきをかえして?』

5/17/2026, 12:46:52 AM