やわらかな光が瞼に注ぐ。
うっすらと目を開けて、天井に焦点を合わせていく。
そのまま視線だけをずらして、
僕はぼんやりとカーテンを見つめた。
扇風機の首振りに合わせて、
隙間から漏れる日差しが揺れている。
毛布の小さな隙間から、温もりが逃げていく。
閉じ込めるようにもう一度深く被り直して、
深く、ため息のように息を吐いた。
眩しい、と。
勝手にカーテンを閉める君がいないこと。
二度寝を誘う声がないこと。
毛布の隙間を埋める、温もりがないこと。
やわらかな陽射しは、あの頃の彼女のようで。
僕は彼女に会うために、そっと、瞼を閉じた。
閉じたせいで溢れてしまった涙が、頬を伝って耳へ落ちる。
その冷たい感触が、彼女の触れる指先の温度に似ていて、
どうしようもなくなった。
やわらかな陽射しが、閉じた瞼を追いかける。
眩しいだろうから、目を開けたくない。
どうかこのまま、沈むように眠らせてほしい。
もう一度目を覚ました時、
君の指先の温度を思い出すものが
涙じゃなくて、やわらかな陽の光になるように。
「やわらかな光」 白米おこめ
10/16/2024, 1:04:58 PM