『まだ知らない君』
君の横顔を今日も眺めている。
雨の日の喫茶店。君は雨の日でもこんなに晴れやかで。雨に覆われた街並みを窓越しに見て、笑顔をこぼす。道に流れる色とりどりの傘が、そのうち僕にも本物の花畑のように見えてくる。
僕の知っている君の顔。だけど僕の知らない君の顔もあるだろう。
僕にも、君の知る顔と知らない顔があるように。
僕の知る君が、君の知る僕を好きだと云う。
僕の知らない君も、君の知らない僕を見つけてくれるだろう。
僕が僕の知る君を抱きしめて、知らない君を探すように。
一枚また一枚と薄い包みを手探りではがしていく。
また君を見つけたい。まだ君を探していたい。
いつか僕の知らない(君も知らない)、僕らふたりが並んだときに化学反応のように現われる、君に(僕に)出逢えますように。
いつまでも知り尽くせない君と僕でありますように。
1/30/2025, 10:18:01 AM