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「踊りませんか?」
優しく心地よい声が聞こえ、ゆっくり頭を上げると、
優美で上品なドレスを纏った美しい女性がそこにいた。
少し目を細め、微笑んでいる。
あれ、そういえば僕は今まで何をしてたっけ?
手の甲には青痣が。そして遠くに薬の瓶が転がっている。

少しずつ少しずつ目の前が明るくなっていく。
画面の割れた携帯を見つけ、すべてを思い出した。
そうだ。僕は。

「ごめんなさい」と女性に告げ、僕はゆっくり立ち去ろうとする。
女性はみるみる醜い姿になり、美しいドレスはたちまち真っ黒なワンピースに変わった。

やっぱりそうか。
彼女は死神だ。
死神がいかにも“死神です”みたいな格好で来ないよな。
僕は死のうとしたけど、死神と踊らなかったから助かるんだな。
これで安心だ。

安心したら、眠たくなってきたな………

#踊りませんか?

10/4/2022, 3:23:31 PM