きらり

Open App

『もっと知りたい』

君のことをもっと知りたいと思うのはワガママかな?

きっかけは何てことない些細なこと。
君が図書館の窓辺で静かに本を読んでいる姿が、陽の光を浴びてなんだか儚げだったから目を奪われてしまった。
それから急に君がことが気になって、いつの間にか君の姿を目で追うようになり、君のことが頭から離れなくなった。
「好きなの? あいつのこと」
「へっ?」
お昼休みのときに友達から指摘された。どうして、そんなことを聞くのかと尋ねたら
「えー、だって瞳が完全に恋する乙女モードだもん!」
……知らなかった。
そうか、私は彼のことが好きなのか……。
自分が同級生に恋をしていると自覚すると、身体が熱くなった。
君を見ると胸がドキドキして、少し苦しいのになんだか幸せな気持ちになる。
もっと色んな君を見たい、知りたいと思うようになった。
真剣に授業を受ける横顔。
クラスの男子とはしゃぐ笑顔。
給食で苦手っぽい食材を食べた時のしかめ面。
図書館でいつもの窓辺で読む本を探す悩ましい表情。
もっと、もっと知りたい。もっと、もっと見たい。
好きな色とか、好きな作家さんとか、好きな食べ物とか、得意な授業や苦手な授業とか……。
好きな女の子のタイプとか。

もっと、もっと知りたい。
ああ、どうして恋する女の子の好奇心はこうも貪欲なんだろうか。

でもね、同じくらい私のことも知って欲しいんだよ。
私が君のことが、こんなにも好きだってこと……もっともっと知って欲しいんだよ。
ねぇ、君は私のことをどう思っている?
すっごく、すっごく知りたいよ……。

3/12/2023, 11:08:56 AM