ー透明ー
どんなに綺麗な白でも、少し違う色が混ざったらそれは白とは言えない。
白なんだけれど、元の白には戻らない。
無色透明に関してはどれだけ明るい色に触れようと、暗い色に触れようと戻ることは無い
心の状態を色で表して、明るいほど白く、暗いほど黒で表され、黒は多くの白で薄くなる
というのはよく聞く話だ。
でもそれは違うと否定できる。
心はガラスと表現されるように透明なのだから、傷ついた色はつき続ける。
いいことの白だって、嫌なことの黒だって。
普段感じる色は黒が多いけれども。
黒は嫌だからどうにか白くしようとして、
治そうとして、治そうとして。
でも痛くて苦しくて嫌で辛くて。
ずっとずっと治らなくて治らなくて。
どんなに白にしても滲んだ黒が浮かんできて
透明な紙に水分過多の絵の具を伸ばす。
「乾いてから塗ればいいのに」
そんなことはわかってるけど、すぐに無くしたくて。少しでも早く痛みを消したくて。
それが逆効果って気づいているのに知らないふりをした。
透明な紙には白も黒も赤も青も黄色も、全てを混ぜたドス黒い色だった。
絵という未来はぐちゃぐちゃだった。
筆という進路は折れ曲がっていた。
下書きという未来予想からダメだった。
だからいきなりベタ塗りしちゃって、そこから全てはみ出したんだろう。
またこうやって論点がズレていく。
下書きも構想もやってこなかった。
上書きも創造も出来なかった。
色んなことを考える中で透明だった昔の紙は色んなものに触れてしまった。
ぐちゃぐちゃによれて、見るに耐えなくなってしまった。
戻りたい、苦しくなかったあのころに。
現実という色を知らなかったあのころに。
無知とはあんなにも嬉しいことだったのだ。
無色で透明で、ガラスのように綺麗で、下書きもできたあの頃に。
ー透明ーだった私に戻りたい。
3/13/2025, 2:31:44 PM