嗚呼
「嗚呼!」私は天を仰いだ。またか、また失敗だった。このタイムカプセルが私のライフワークなのだが、もう、私も年だ。あまり時間がない。
タイムマシンに乗るよりも、もう少し凝縮した空間(カプセル)に一人ずつ乗ったほうが、時間や場所を正確に合わせやすい、というのが私の議論だ。
簡単な箱みたいなタイムマシンは、既に開発されているが、失敗も多い。目的の時間や場所とまったく違う場所に行ってしまったらしく、それっきり帰って来ない家族とか、未来に行くと言って出発した途端に爆発事故を起こしてしまったり。むしろ、成功した話はあまり聞かない。行った人が秘密にしている可能性もあるけどね、
それでも人は、過去や未来に行きたいらしい。そういった事故をニュースで見ても、懲りずに行こうとする。
だから私は、もっと安価で、正確性のあるタイムカプセルを開発しようとしている。
もう何万回実験したろう?いまこの国の平均余命は178歳だ。182歳になった私の、研究出来る時間は、あとどのくらいだろう?
改修のために1日置いて、またスイッチを入れたものもダメだった。「嗚呼!!!」
No.132
3/10/2025, 12:47:59 AM